環境

石油元売り企業とはなにか?

最終更新日 2024年5月18日 by amcgsr

1,石油元売り企業とはどういうものか

石油といえばガソリンや灯油が有名で、これらは主にガソリンスタンドで販売されています。

当然ですが、供給する企業あってこその販売ですから、原油を元とする製品には元売りが存在します。

元売りの他にも元売り会社と呼ばれたりしますが、いずれにしても、原油の精製設備を保有していたり、ガソリンスタンドと提携しているのは各社に通じる共通点です。

元売り会社によっては、自ら経営を手掛けていたりするので、車に乗る人達の間では特に、割と社名が浸透しています。

TVなどでCMが放送されていますから、一般消費者に名前を知られている会社も少なくです。

元売り会社は、燃料の供給によって幅広く経済活動を支えていることから経営収入が大きく、社員の年収も高めです。

1千万円の年収を超える会社もあるので、日本全体の平均年収と比べれば、明らかに稼げる業種だといえるでしょう。

いずれにせよ、年収が大台に乗る企業は限られますし、全ての石油関連会社がそうだとは限らないので注意が必要です。

やはりシェアは大手の方が大きく握っていて、そのバランスが大幅に変わることはあまりないです。

勿論、大きい会社がある一方では、相対的に規模の小さな元売り会社も存在するわけです。

元々日本では政府の認める登録会社だけが、元売り会社として販売が許されていました。

今はそういう登録制度が廃止され、石油元売りの厳密な定義はなくなっています。

一般的には、製油や販売を手掛ける上に、大規模に事業展開する会社が当てはまります。

このような企業が行っている業務は、原油の買い付けや輸送に国内への輸入と、貯蔵と備蓄や精製、そして供給と販売です。

 

2,原油は簡単に売ってもらえない

原油は、供給する側の原油国の発言力が強く、ただ単に欲しいといっても売ってもらえないのが実情です。

油田原油の優先購入権の獲得が必要ですから、信頼関係を強めたり、有利に交渉を進める材料が必要となります。

油田開発もその1つで、開発における積極的な姿勢を見せることで、信頼と優先購入権の獲得を目指し続けます。

これには元売りだけでなく、交渉力のある総合商社や日本政府も関わり、チームワークと企業努力によって、何時でも石油製品が入手できるようになりました。

実は、原油の買い付けの難しさは他国も同様で、競争相手の中国も投資を行い、開発が激化している状況です。

ある意味で、国外で起こっている経済的な戦争ともいえますから、その動向から目を離すことはできないでしょう。

買い付けに成功した原油は、いわゆるタンカーを使って海外から海を越えて輸入に至ります。

厳密には、原油採掘の会社か原油国から買い付け、転売を行う会社から買う形で購入しています。

輸入が行われた原油は、巨大なタンクに貯蔵して、安定供給を実現する為に備蓄されます。

原油元売り企業自身も、日本政府も備蓄を行うことで、2重に安定供給を図っているといえます。

貯蔵は原油に加えて、精製された石油製品も同様に各地で備蓄が行われます。

一方、精製は特殊な製造施設が必要不可欠なので、国内でも取り扱える場所は限定的です。

製油所ではガソリンを始めとして、灯油や軽油に潤滑油と、性質や用途別で分けられます。

これを分留といって、各種の様々な用途に使えるようになります。

 

3,原油に需要があるのは用途の多様性にある

用途の多様性が原油の価値そのものといっても過言ではなく、世界中で需要がある理由にもなっています。

分留された原油の用途はとても多く、LPガスやジェット燃料にもなるので、まさに原油は夢のようなエネルギーです。

他にも、路面の舗装に使用するアスファルトも精製されるので、単なる燃料以上の価値があります。

製油しないと製品化できないので、石油を取り扱う元売り企業には製油所が欠かせないです。

製品は製油所から流通網を通って供給されますが、輸入基地を起点に、タンクローリーやタンカーなどを使って配送されます。

ガス類はパイプライン、固形物は鉄道網といった具合に、製品の種類によって輸送手段が使い分けられます。

民生用の製品だと、ガソリンスタンドのような給油所や販売店が、持ち届けの形で供給を受けます。

サービスステーションの側が製品の受け取りに出向く、倉取りという供給方法も存在します。

使用するのはタンクローリーで、油槽所と呼ばれる2次基地に出向き、製品を受け取って持ち帰る供給ルートです。

産業用では、発電所や化学プラントに製紙工場など、顧客が希望する油槽に輸送するのが基本です。

この供給方法をインタンク直販と呼び、まとめて供給できる合理的な方法となっています。

ガソリンスタンドを筆頭とする小売では、一般消費者向けに小口の単位で販売され手元に届きます。

業務用途で大量に燃料を消費する大口消費者には、小売販売店を経由しない直接販売が用意されます。

まとまった量が購入できたり、小口よりも安く買えることになるので、大口消費者にとって重要な販売ルートだと考えられます。

改めて確認してみると、元売り会社には販売までにいくつもの工程が必要で、供給を実現する為に投資をしたり、莫大なコストを支払っていることが分かります。