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羽子板は昔から存在する日本の伝統的な文化

最終更新日 2025年7月8日 by amcgsr

1.室町時代から存在していた遊びである羽子板

お正月に女子に対して贈られる羽子板には、様々な由来や伝承が存在します。
歴史は非常に長く、室町時代から存在していた遊びであると考えられています。

江戸時代の時には現代のような形になってきましたが、当時はいわゆる高貴な人たちが遊ぶためのモノでした。
負けた人がお酒をふるまうなどの遊び方をしていたため、現在のように女子が遊んで楽しむと言った子供的な楽しみ方があったわけではありません。

徐々に現代型の遊び方や考え方に浸透していったのは、江戸時代に入ってからです。
昔の板から、羽根つき用のものと飾り用の物は分けて考えられていました。

昔は、羽子板の上に梅の絵などが書かれていました。
現代でも板の上には絵が描かれていますが、昔の絵は現代の絵とは異なって決まったものが描かれる傾向にあり、梅の絵はその典型的なものでした。

こういった典型的な絵から徐々に変化が始まったのは、江戸時代の後期に入ってからです。
押絵という手法が生まれて、歌舞伎役者などの姿を表現したりするような絵が好まれるようになりました。

特に表情豊かな絵画が好まれる傾向にあり、この時代から一気に板に対するデザイン性が向上したという背景があります。
実際にそれまでは高貴な人が利用していた文化でしたが、一気に一般庶民にまでその文化が広まって、板を手にする人が増えるようになったわけです。

2.球には子どもが病気にならないようにという意味が込められている

また板でつく羽には小さな球のようなものが先に着いています。
これは現代でも利用されていますが、この球には実は理由が存在します。

この球には、子どもが病気にならないようにという意味が込められています。
子どものお守りとして考えられているものであるため、昔から羽根つきの球には非常に大きな意味が込められていたことがわかります。

邪気を払って健康的な子供になるようにという願いが込められていますので、このような文化には様々な意味が込められていることがわかるわけです。
無病息災を願って作られていますので、この点も現代の文化と変わりはありません。

現在の羽子板文化が作られたのは、このように江戸時代に入ってからということになります。
江戸時代に入ってからは煌びやかなイメージと一緒に一般庶民に対するイメージが定着したので、そこから様々なデザインが広がっていきました。

板を飾る時期に関しても、この時代から12月中旬以降、つまりお正月にかけて飾るものであるという文化が根付きました。
女児に対して贈るものであるため、男児に対しては破魔弓と呼ばれるものを送ることもこの時代から存在する恒例行事です。

一般的にお正月に板を贈る時期を初正月などと言います。
これは赤ちゃんが生まれてからその家で初めて迎えるお正月のことを意味するからです。

日本では、昔から初正月を祝って無病息災を願いながら様々な行事を行ってきました。
羽子板文化もこの一環であるため、現代でも親しみやすい文化として広く利用されています。
上記のように、デザイン性や色々な意味が含まれていることから板そのものの種類が分裂していったという背景もあります。

3.道成寺には末広がりの意味が存在する

例えば、浅妻というタイプのものが現代でも提供されています。
これは、月夜の海に船を浮かべて、美しい白拍子姿で舞っている浅妻を描いています。

将来的な厄災を払うという意味が存在することは一般的な羽子板と同じなのですが、それ以外にも願いが叶うようにという意味が込められていることが特徴です。

同じように、道成寺というものも存在します。
これには、末広がりの意味が存在します。

幸せが広がるようにという意味が込められていますので、このタイプの板を利用する人は非常に多いです。
単純な無病息災だけではなく、相手の幸せを願って贈ることで様々な恩恵を受けられるように願っています。

こういったものは、特に現代の文化には欠かせません。
さらに、良縁を願いながら送る藤娘というものも存在します。

日本舞踊や歌舞伎の演目でも有名ですが、良縁を願う可憐な女性が魅力的な存在として提供されています。
現代社会では、良縁に関して様々な解釈がなされることがありますが、この板にもこういった色々な方面からの解釈で楽しむこともできます。

最後に、汐汲と呼ばれているものです。
これも、歌舞伎や日本舞踊で知られているものですが、板にも利用されています。

幸せを願う意味では他の板と同じタイプともいえますが、海の水をくむように広大な幸せが訪れるようにと願っています。
さらに大きな幸せを相手に願いたいような場合に贈ると、相手からも重宝される可能性があります。

このように、羽子板文化は昔から日本に根付いているれっきとした文化であり、現在でも様々な進化を遂げているものです。
ただ、どの板でも特徴的なのが、相手の健康的な生活や幸せな将来を願って贈られるものであるということです。

初正月でよく見かけるのも、その年の初めから良いことがあるようにという想いが多分に含まれています。
プレゼントするときなどの参考にもできますので、このような日本文化を知っておくと便利です。