教育

新型コロナウイルスで苦しむ子どもを救うためのユニセフの支援

最終更新日 2024年5月18日 by amcgsr

世界中で感染者を増やしている新型コロナウイルス感染症((COVID-19)は、治療薬やワクチンがないために、多くの人の命を奪っています。
感染者および死者の増加ペースは日毎に増しており、留まることを知りません。
そんな大人でさえも経験したことのない世界で、か弱い子どもが置かれている状況はとても厳しいです。

 

ユニセフ(国際連合児童基金)の報告

たとえば国連機関であるユニセフ(国際連合児童基金)が2020年7月に新型コロナの世界的な流行によって、重度の栄養失調になる5歳未満の子供が1年間に650万人も増えるという推計を発表しました。
その多くは貧困に苦しむ南アジアやアフリカの子どもたっちです。
さらに、経済活動ができなくなったり、食糧の供給が滞ったりすれば、以前から重度の栄養失調になやんでいた子どもたちにも影響がでて、1ヶ月に亡くなる数が1万人以上は増えるという計算結果がでています。
たとえ感染しなくても、栄養失調による死が迫るとなれば深刻な事態です。

 

COVID-19対応における社会経済的影響の調査

さらにユニセフでは、新型コロナウイルス「COVID-19対応における社会経済的影響の調査」を行っています。
それによると回答した136カ国で、そのうち104カ国で子どもの暴力を防止するためのサービスが、感染予防を行うために中断することになったという結果がでました。
もちろん、各国の政府も子どもたちが暴力の被害に遭うことを黙認しているわけではありませんが、それ以上に感染予防のために動かなければいけないというのが現実です。

もちろん、子どもは大人よりも重症化しにくいとはいえ感染するリスクはありますし、死者もでています。
したがって、子どもたちは飢え・暴力・感染といったことに注意しながら生きていくことになります。

 

影響はたとえ感染が収束しても続く恐れがある

しかも、その影響はたとえ感染が収束しても続く恐れがあります。
なぜかというと、親が仕事を失えば、子どもが労働力として駆り出されることは珍しいことではないからです。
そうなると学校も辞めなければならず、教育を受けられなければ将来的にも低所得の仕事につくことになります。
また、労働に駆り出された子どもは、危険な作業に従事することもあり、大人になることすらできないこともあります。

 

新型コロナウイルスで苦しむ子どもを救うためのユニセフの取り組み

そういった中で新型コロナウイルスで苦しむ子どもを救うために、ユニセフでは様々な取り組みをしています。

 

●資金の確保

まず支援をするために必要となる資金の確保です。
そこで新型コロナの支援を目的とした緊急募金を呼びかけています。
日本では、日本ユニセフ協会などを通じて募金ができるようになっています。
振り込みの際に、コロナと明記しておけば送金手数料はかかりません。
募金は寄付行為なので、所得税や相続税、一部自治体の住民税で控除の対象になります。
海外の子どもを助けることが節税につながるのですから自分にとってもメリットのあることです。
なお、集めたお金は、以前から国の情勢が不安定であったり、経済的に困窮しており十分な医療を受けられない途上国に使われます。
日本のような先進国に対して使われるお金ではありません。

 

●感染予防に関すメッセージを伝える

では、資金を確保したあと、どうするのかというと緊急募金を呼びかけるページでは、実際にやったことが書かれています。
まず、感染者をこれ以上増やさないためにも、感染予防に関すメッセージを伝えると同時に、必要な手洗い用品の配給を行いました。
感染症において、どうやったら感染を防げるのかを知ることは重要です。
メッセージはその知識を与えるために役立ちます。
そして、手洗いの重要性がわかっても、清潔な水や石けんがなければ実際にはできません。
アフリカなどでは上下水道が家に通っていないことも多く、そういう地域で手洗いができるように、水を入れたタンクを各所に配置しています。

 

●医療に関する支援

そして、医療に関する支援も行っています。
栄養が足りない子どもたちのために緊急治療ケアを施し、授乳中の親子に対しては感染予防を考慮した予防法のアドバイスを行いました。
あと、子どもが警戒しなければ行けない病気は、はしかや風疹などいろいろなものがあります。
新型コロナのために他の病気の予防まで手が回らなくなっているので、感染予防をしつつ、そういった病気の予防接種ができるようにと手助けをしています。
医療機関で働くスタッフについては、パンデミックという状況でいかに感染予防をするのか、そして治療を進めていくのかを学ぶための研修を行い、必要なフェイスシールドやマスクなどの提供もしました。

 

まとめ

あとは遠隔教育が受けられるようにする支援、家族が感染したときに子どもの行き場がなくならないよう代替養育の支援、経済的に困窮している家庭への現金給付などもユニセフの取り組みです。
その支援の手がすみずみまで届いているとはいえないかもしれませんが、確実に助けられている子どもたちがいます。

とはいえ、こういった支援は一時的なものでは意味がありません。
十分な資金や人手を集め、継続して支援の手を差し伸べなければ、本当の意味で苦しむ子どもを救えたとは言えないでしょう。
終りが見えない中で支援をし続けるのは大変ですが、ユニセフはそのためにある組織なのですから途中で投げだすことはありえません。

 

参考文献:日本ユニセフ協会の支援内容・活動実績のまとめ